討議会

今日はS藤先生の研究授業があり、討議会が行われた。

で、講師の先生として、府教委の(指導主事?)で理科を研究しているといわれている人がやってきて、まぁ色々講釈をたれた。

その中で信じがたい発言が一つ。てこの授業をしたのだが、M田先生が、
「天秤のかたむきっていう風に教えますが、どうもいまひとつ、子ども達としてはピンとこないみたいですよね。本当はいけませんが、結構重たいものを乗せたら、くるんと回転しそうな勢いで回るから、回転って教えてはだめなんですかね。」といった。

そしたら、えらそうに難しいことを教えてやるという感じで(普段は丁寧な人だけど)、前口上をたれて、
「慣性モーメントというのは、傾きと回転は全く別の概念なんですよ。重心よりも下の方に支点を置くとくるんと回転しますが、上におくと、傾いてこつ。と地面にあたります。だから、慣性モーメントってのは、回転とは関係がないんです」
なんてことを言ったのである。

とんでもないことをのたまう。

一応、講師の先生なのだから、専門教養はあるのだろう。しかも理科だし。
で、上とか下とかって、それはモーメントとは全く別の次元でしょう。
上とか下で、モーメントがどうとかいう話になるなら、上とか下とかが定義できない場所なら、モーメントは存在しない
のかい。と突っ込みたくなった。
例えば、無重力空間。上とか下とか定義できないぞ。でも重心を支点においたとき(おかなくてもいいけど、計算が楽。)l離れたところにFの力を加えるとFlのモーメントが発生する。力を加え続けると、確かに回転運動すると思うのですが(実際試したことないけど)。


まぁようするに、

こういいたい。

なんというか、「(支点よりも上が重心)傾きの場合は、地面にぶつかる。」ー>「(支点よりも下が重心)回転運動の時は地面にぶつからない」ー>「傾きと回転運動は違う」という論理は、回転運動の時、地面にぶつかったという仮定が成り立った場合、簡単に崩壊すると考える。

適当に思いつく例。水車。水量が一定なら考えやすいけど(別に一定でなくてもよい)あれは、水車の中心を支点として、常に一定方向に水の位置エネルギー(ポテンシャル)を運動(回転)エネルギーに変換している。で、それを、まぁ臼をついたりする上下運動のエネルギーに変換して、まぁ最後は物体を変形させて熱エネルギー(回収不能?ゼーベック効果とかよくわからんけど)に落ち着いている。

あの水車、手で止められるサイズのやつとかあるよね。といいたい。

まぁ、一番最後にいいたかったこと。あれは、慣性モーメントではなくて、力のモーメントだ。(と思う)

N=F\times Lね。

それに、講師の先生は慣性モーメントっていってたけど、慣性モーメントっていうのは、

L=r\times mvね。で、
L=mr^{2}\omegaで、
で、慣性モーメントIっていうのは、
L=I\omegaであらわせるので計算すると、
I=mr^{2}
というわけで、なんと角運動量が消えます。

となるので、なんと言うか、慣性モーメントというのは、名前の通り、回転にしにくさ、しやすさとか、そういう話になります。
てこの原理の距離と、重たさの話でも厳密に言えば、使う場面もあるかとは思いますが、そんなことまで言い出したら、気体の粘性やら、角運動量によってはベルヌーイとか流体力学の領域に入ってきてしまいます。

それよりも、力のモーメントとの方が、今回の話し合いでは重要な概念であり、
講師ともあろう人間がそういうことを語るというのは、「自分は無知です。でも、自分ではそれに気づいていません。だから皆さんを教えてあげましょう」というのと同義だと思います。

もちろん、私も上のところ間違っているかもしれませんが・・。
2月に私の研究授業があるけど、そんな人間に講評されるのは嫌だなぁ。